薄毛は、生命に対して直接的に影響を及ぼす事はありませんが、外見のイメージを大きく変えてしまいます。このために、人によっては社会的に深刻な状態に陥るケースも十分考えられます。そこで、これを改善するために多様な方法が考案されており、いろいろなアイテムも販売されています。

しかし、薄毛の対策方法の全てが信頼できるというわけではありません。間違った方法を実践する事により、症状をさらに進行させてしまう可能性もあります。また、高額料金を必要とする方法を行ってしまうと経済的に大きな負担となってしまいます。このような問題を解消するために発表されたのが、日本皮膚科学会による男性型脱毛症診療ガイドラインです。

科学的根拠に基づいた治療法を選択して情報提供するという事が目的で、エビデンス根拠のレベルにより分類しています。具体的には、皮膚科学の視点から有効と考えられる方法から順番にランク付けが行われており、薄毛に悩みを持つ人が最適な方法を選択しやすい内容となっています。

このガイドラインにおいて最も高評価を獲得しているのが、内服薬のプロペシアと発毛促進成分ミノキシジルを配合した外用薬です。これらは共に、強く推奨できるという意味のA評価となっています。つまり、医学的根拠に基づいた薄毛の対策方法という事になります。

プロペシアは、男性型脱毛症の原因物質の生産を抑制する作用を持つ内服薬です。臨床実験では、3年間の継続服用により80パーセント近い改善が報告されています。男性型脱毛症は、原因物質の作用により皮脂の過剰分泌と毛周期の狂いが生じる事で、生え際から頭頂部にかけての部分の頭髪の成長が阻害されるという事が特徴です。

成長途上で抜けてしまうと共に、生え変わりに時間がかかってしまうようになります。原因物質が生産されている限り症状が改善される事はないので、最終的には毛包の生産能力が喪失するまで進行してしまいます。プロペシアは、この原因物質の生産に関与している5α還元酵素を阻害するという治療薬で、皮脂と毛周期を正常な状態に回復させる事により薄毛を防止するという内容です。

一方のミノキシジルは、毛包自体を活性化する作用がある成分で、発毛を促進させる効果を期待できます。アメリカでは脱毛症の治療薬として20年以上前から使用されています。特に、頭頂部の脱毛症に対して有効であり、かなり薄毛が進行していても回復させる事が可能です。